この年の6月、福岡市総合図書館内に、アジア映画や日本映画の名作を中心に調査・研究、収集、保存、公開する映像ライブラリーが開館した。これにより、アジア映画の情報拠点としての福岡のポジションはさらに重要なものとなり、その後、映画祭で上映されたフィルムの多くは映像ライブラリーに収蔵していくというシステムが確立した。 アジアでも、産業的にアメリカ映画に負けていない数少ない国フィリピンの特集は、娯楽性も兼ね備えたパワー溢れる作品を中心に、福岡在住のフィリピン人を巻き込んで大いに盛り上がった。特に前年に続いて参加のマリルー・ディアス=アバヤ監督は、その後、新作を発表するごとに福岡映画祭に出品してもらえるようになり、地元の市民団体との交流も積極的に引き受け、福岡ではよく知られたアジアの監督のひとりとなった。また韓国を代表するスター、アン・ソンギも、代表作「祝祭」上映後、ファンに囲まれ、サイン責めにあう光景も見られた。 歌と踊りを盛り込んだ、マニラトナム監督の社会派エンターテインメント「ボンベイ」の上映は、その後の日本におけるインド娯楽映画ブームの礎となったといえるだろう。このほかにも、前年の参加をきっかけにイランと日本との合作となった「神さまへの贈り物」を上映したほか、この年参加のプラサンナ・ヴィターナゲー監督(スリランカ)、ウ=エイ・ビン・ハジサアリ監督(マレーシア)の新進ふたりは、NHKの共同製作のパートナーに選ばれた。 韓国のパク・チョルス監督も、この年の参加が縁で、福岡市の国際プロモーション・ビデオの演出を手掛けることになる。 またこの年より、参加ゲストのコメントなどを伝えるフェスティバル・ニュースが、映画祭期間中に3回発行され、観客の手にわたるようになった。
○フォーラム「フィリピン映画について」(9月18日/アクロス福岡国際会議場) ○関連企画:アジア映画人会議(9月13〜15日/福岡市総合図書館映像ホール)