毎年台風シーズン中の開催であるにもかかわらず、難を逃れてきた福岡映画祭だったが、この年は会期中に台風19号が九州に接近し、ついに交通機関がストップ。百貨店なども臨時休業するなかで、やむなく一部の作品を上映中止した。入場者数は前年よりも減って14,117人に。しかし、映画祭参加ゲストは、前年特集上映したフィリピンから多くの自費による参加者を迎えて、過去最多の64人を数え、観客とのディスカッションは大いに盛り上がった。またこの年から、福岡から飛行機で40分の距離にある韓国・プサンでも国際映画祭がスタート。同時期開催のため、福岡からプサンへ移動するゲストも多く見られた。 台湾映画特集は、巨匠リー・シン監督の名作など、これまで紹介されることのなかった台湾ニューウエーブ以前のものを含んだ7作品。シンポジウムは、リー・シン監督のほか、ワン・レン、ワン・トンといった台湾映画界を代表する監督が台湾映画の歩みを総括し、充実した内容となった。99年の東京国際映画祭でグランプリなどを独占したチャン・ツォーチー監督もこの年に参加している。日本を舞台にした香港映画「廣島廿八」は製作後20年以上たって日本初公開。被爆者を主人公にした異色のメロドラマは社会的にも注目を集めた。 韓国映画「灼熱の屋上」は新人監督による傑作コメディ。以後、韓国から新世代の作品が多く出品されるようになる。 また、後に劇場公開された「運動靴と赤い金魚」(イラン)、「サイゴンからの旅人」(ベトナム)は、この年の映画祭での評判により配給が決まったもの。 この年から福岡市総合図書館では、映画祭期間中に海外からのゲストを対象に英語字幕を付けた日本映画の傑作を上映するようになり、好評を博している。 なお、前年までで福岡映画祭に4作品の出品を数える、韓国映画界を代表するイム・グォンテク監督が、この年の第8回福岡アジア文化賞・芸術文化賞に輝いた。
○シンポジウム「台湾映画について」(9月17日/エルガーラホール)