21世紀を間近に控え、新人監督を中心に若手監督の意欲作が数多く登場するようになってきた。「そこに光を」(トルコ)、「運命からの逃走」(タイ)、「ザ・コンタクト」、「八月のクリスマス」(ともに韓国)といった作品は、いずれも新人のメガホンによるもの。後者2作品は、のちに韓国の新世代監督が日本でも注目を集めるきっかけのひとつとなった。また映画大国インドからは、ヒンディー語、ベンガル語、タミル語、マラヤーラム語など各映画界の5作品が出品され、「メロディ」、「ザ・デュオ」といった、スクリーンを魅力的に飾った音楽を収めたサントラCDは、上映会場で飛ぶように売れた。 この年のシンポジウムのテーマは「アジア映画の現状と将来」。経済危機に直面しているアジア各地の映画界からさまざまな問題が熱く訴えられ、映画人共通の悩みが再認識されることとなった。また、ベトナム映画界を代表するダン・ニャット・ミン監督は、九州芸術工科大学でセミナーの講師として教壇に立った。 前年より上映会場に加わったエルガーラホールにはビデオ上映の設備が常設されているため、以後、ビデオによる作品の上映も容易となっていく。この年はネパール、カンボジアからのビデオ作品が参加した。そのネパールの若手監督ツェリン・リタール・シェルパは、その才能を高く評価され、次回作「欲望の仮面」をNHKと共同製作することとなったほか、日本映画「原野の子ら」は、福岡映画祭参加をきっかけに、イラン、インドなどの映画祭に招待されるという嬉しい結果をもたらした。 なお、この年より公式ホームページを開設し、国内外へ福岡映画祭についての情報を発信することとなった。 福岡市総合図書館における映画祭上映作品の収蔵は、98年度末で100本を超えている。
○シンポジウム「アジア映画の現状と将来」(9月14日/エルガーラホール)