開催16回目を迎え、この年から、観客の評価によって決定する「コダックVISIONアワード」がスタート。栄えある第1回受賞作品としてインドのジャヌ・バルア監督の社会派ドラマ「私はガンディーを殺していない」が選ばれ、コダックより副賞として、次回作製作のためのフィルム、250万円相当が贈られた。 「この賞をいただけたということは、私のメッセージに観客のみなさんがすぐ反応して下さったということです。つまり、平和、非暴力のメッセージを大切に思って下さった人が多かったということで、それをたいへん嬉しく思います。福岡のみなさまが、この映画を気に入って下さったことを、私は決して忘れません。次回作はまだ考えていませんが、賞をいただいたことで、次回作を撮る勇気が出てきました」(バルア監督コメント) オープニング上映作品は、アジア映画界の巨匠、スリランカのレスター・ジェームス・ピーリス監督が87歳を迎えて発表した最新作「母」のワールド・プレミア。残念ながら、監督はご高齢のためにアジアフォーカス参加はならなかったが、この作品の製作を務めた、夫人のスミトラ・ピーリス監督からメッセージが代読された。 またこの年の5月に亡くなったタイ映画界の巨匠、チャード・ソンスィー監督の遺作となった「絵の裏」の特別上映のほか、協賛企画として福岡市総合図書館所蔵7作品によるチャード監督の回顧展も実施された。 この年のアジアフォーカスの特徴としては、公式招待24作品のうちの半数以上が長編2作目までの監督作となるなど、新しい世代の台頭があげられる。フォーラムは「アジア映画の新しい世代と未来」をテーマに行われた。パネリストとしてリリ・リザ監督がインドネシア、ロイストン・タン監督がシンガポールのそれぞれの映画製作事情をレポートした。 開催期間中の三連休には、台風13号が福岡に上陸して最大瞬間風速49.0メートル(観測史上2番目)を記録。交通機関の運休や商業施設の臨時休業などのなか、なんとか上映は予定どおり実施したものの、観客の足には大きな影響がでた。一方で、池谷薫監督が元残留兵のその後を追ったドキュメンタリー「蟻の兵隊」に多くの観客が詰めかけた。会場に観客が入りきれない状態となって、最終日に急遽、追加上映を実施。95年の日本映画「午後の遺言状」以来の追加上映となった。 10月には、ここ数年の映画祭上映6作品を集めた「アジアフォーカス・イン・熊本」を実施した。